『Memory's Messiah』(ダークファンタジー)
そして茂は涙目の両親にこう言った。


茂[少年]『どうしたの?二人とも?…』


茂の父『あれ?…どうしたんだろうな…』


茂[少年]『二人ともそんなにから揚げが食べたかったの?…』


茂の母『そうじゃ無いんだけどね…』


茂の母『何でだろうね…』

茂[少年]『みんな泣き虫だなぁ〜』


茂の父『お前も泣いてるじゃないか茂…』


茂[少年]『え?…俺も泣いてる?…』


茂[少年](何でだろう…なんか“凄く幸せ”な気がしたんだよ……いつもと同じ皆とご飯食べてるだけなのに…)


茂の母『皆何時まで泣いてるのよ〜』


茂の母『早く食べなきゃ、ご飯が冷めちゃうわよ〜』

茂[少年]『お母さんだって泣いてるじゃん…』


茂[少年]『も〜皆泣き虫だよ…本当…』


茂の父『本当だな…皆泣き虫だ…』


茂の父『俺達、“泣き虫家族”だな…』


恐らくこの時、茂達家族は昔の、家族では無し得なかった“普通の家族”の団欒をしてる事への喜びから涙が出てしまったのだろう。

昔の記憶など、誰も覚えて居ない筈なのに…


それは…“記憶”をも越えた、“家族の絆”…“家族の願い”そのものだったのかも知れない。


“世界一の頭脳”を持つ茂の家庭では無し得なかった“普通の家族”の“普通の団欒”への憧れが叶った喜びだったのだろう。


そして…茂達は夕食を食べ終わり、茂は自分の部屋へと帰って行った。
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