緊急HR
俺は掴み掛かろうと一歩前に出た。

しかし中島にYシャツを引っ張られ、それを阻止された。

『やめろ!!
お前今自分で上沢に"落ち着け"って言ったばっかだろ!!』

『っ…でもコイツ…』

中島は声のボリュームを下げて言った。

『いいからアイツがペチャクチャしゃべってる間に逃げる方法見つけんだよ…!!』

『……』

俺は渋々うなずいた。



『全く君らは反応が鈍すぎるねぇ…
これでは私の美しい神秘的な世界観を分かち合えないようだ』

柏倉は溜め息をつき、しっしと追い払うような動作を見せた。

『もうさっさと行ってしまえ』

【え…?】

柏倉の促しに、一瞬だが安堵してしまった自分が居る。

『…何言ってんだ、コイツ』

『逃がして…くれんのか…?』

敵自ら目の前の獲物を逃がす。

こんな上手い話が…




『あぁ但し…』

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