緊急HR
《えー…授業中失礼します。3年次学年主任の大庭(おおにわ)です》
突然、校内放送が聞こえてきた。
その声の主は、大庭社広(たかひろ)。
社会科で、黄色が好きな細身の男だ。
だが、3年の主任なので俺ら1年との関わりは少ない。
『??』
《日頃の君達の態度を見て……校長と相談し…えー、決めました》
皆、すっかり静まり返って放送を聞いていた。
声を出しているのは苦しみうなっている長曽根だけだった。
《今から授業を全て中止し 緊急HRとします》
『はっ…!??』
《残りは各自只今授業を受けている先生方にお聞きください。
では、"幸運"を祈ります》
ブツッと、放送が途絶えた。
唐突すぎる連絡に、俺らはとてもじゃないが理解出来ず、ざわついた。
もちろん、長曽根を気遣いながらだが。
『はい静かにしろー今から説明すっから』
斉木は左手に持っていた、すっかりチョークで汚れた教科書を教卓に置き
パンパンと手を叩いて声を張り上げた。