静寂なる雑踏の中で
それは、唐突に始まった。


・・・・ヤバい。このままじゃ遅刻か?
近道、使うか。


それが間違いだったのかもしれなかった。
通称【お化けトンネル】と呼ばれるそのトンネルが、学校への一番の近道。


ふぅ、ここって【出る】って有名なんだよな・・・・。
・・・・・。仕方無いか。
俺は、・・・・・・居ないと信じよう。


急ぎ足でトンネルに入る。


よしっ、やっと出れる!
良かった。何事も無かっ・・・・。

あれ??


目の前の景色がぐにゃぐにゃっと歪んだ。
そして、目の前が真っ黒になる。


え?あれ?何だ??


しかし、それは一瞬だったので、俺は気のせいだ、と思い込む事にした。
後は交差点を一つ越えて、そこからは、一本道だ。

そんな事を考える俺を見て青信号は嘲笑う様に点滅し始めた。

君はどうせ遅刻さ。

今、点滅しているだけなのに、信号にそう言われた気がした。


んだよ、畜生!
俺の無遅刻無欠席に傷をつけるつもりか!?いいよ。点滅しててもいい。渡ってや・・・・あ。


ついさっき迄、嘲笑う様に点滅していた青信号は、俺に対する興味を無くしたのかの様に赤へと色を変える。


あぁ、畜生。
結局遅刻かよ。


俺はそこで違和感を覚えた。


え?あれ?何だ?何が起こった??
・・・・・何だ?何でだ?
こんな事、有り得るのか?映画とか、ドラマの撮影か何かか?


有り得ない出来事が起こって、頭が混乱している。


・・・・・時が、止まった??



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