王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
以前と同じく、無駄に豪奢な謁見の間に通された。
以前と違うのは、ドルメック一人だけでは無い、ということ。
辺りをザッと見渡して、20人前後といった所か。
後からやって来る者達を合わせても、30には届かなそうだ。
(たったこれだけで、ドラゴンに立ち向かわせようとしてんのか?)
苛立ちがより一層増してきた。
ドルメックはまだしも、他の連中には、きっと帰りを待つ仲間達がいる筈だ。
いくら少数精鋭と言っても、度が過ぎる。
そして何より、全員揃いも揃って若いのだ。
(………駄目だ。これ以上なんかあったら、絶対キレる、俺…)
そんな苦悩を遮るように、宰相の声が響く。
「国王陛下、御入室です」
その言葉に、控えていた衛兵が一斉に膝を折る。
討伐部隊のメンバー数名も、それに習うように膝を折っていた。
(……これもデジャヴだな…)
改まる気などまるでなく、冷めた視線で辺りを見る。
ドルメック同様膝を折る気の無いらしい、テイシンと視線があった。
お互いに苦笑を浮かべる。
衣擦れの音がしたので、玉座を振り仰ぐ。
豪華な衣装でゆっくりと歩く国王。
初めて会ったあの日と変わらず身に付けてきた、顔を覆う装飾品を見て目を細める。
(………っ!もう我慢の限界だ…!)
あの日ドルメックがした忠告をまるで理解していない。
ゆっくりと何かが切れる音が聞こえた。