春を呼ぼう
スタート・チャイム
突然チャイムが鳴り響き、ジュンは重たい瞼とは裏腹にガバッと飛び起きた。
まだ日は昇ったばかり。
春が来たと言えど肌寒い。
せっかくの休日だ、昼まで寝てやろうと思っていただけに、ベッドから降りるのが億劫で居留守を決め込もうとした。
それを見透かすように、尚鳴り続ける音。
「…っだぁぁ!うるっせぇ!!」
ジュンは思わず母国語を吐きながら、朝日の照りつけるドアへと階段を降りて行った。
カチャ…
元より無愛想な方で、しかも眠気による苛立ちも重なり、些か眉を寄せてドアを開く。
「あっ、おはようございますーっ」
「……どちら様?」
そこに立っていたのは…朝陽を反射する金の髪、グリーンの瞳が印象的な少女だった。
ジュンが訝しむような視線を向けると、少女はその細い腕には不釣り合いな、大きな荷物を少しだけ上げてはにかんだ。
「今日からお世話になります、チェルシー・ブラウンと申します!」
「………は?」
(何言ってんだ、コイツ)
すると相手は聞き取れなかったと思ったのか、ご丁寧にももう一度口を開いた。
「あ、えっと、今日からお世話に…」