春を呼ぼう

スタート・チャイム



突然チャイムが鳴り響き、ジュンは重たい瞼とは裏腹にガバッと飛び起きた。

まだ日は昇ったばかり。

春が来たと言えど肌寒い。


せっかくの休日だ、昼まで寝てやろうと思っていただけに、ベッドから降りるのが億劫で居留守を決め込もうとした。


それを見透かすように、尚鳴り続ける音。

「…っだぁぁ!うるっせぇ!!」

ジュンは思わず母国語を吐きながら、朝日の照りつけるドアへと階段を降りて行った。


カチャ…


元より無愛想な方で、しかも眠気による苛立ちも重なり、些か眉を寄せてドアを開く。


「あっ、おはようございますーっ」

「……どちら様?」

そこに立っていたのは…朝陽を反射する金の髪、グリーンの瞳が印象的な少女だった。


ジュンが訝しむような視線を向けると、少女はその細い腕には不釣り合いな、大きな荷物を少しだけ上げてはにかんだ。

「今日からお世話になります、チェルシー・ブラウンと申します!」

「………は?」
(何言ってんだ、コイツ)

すると相手は聞き取れなかったと思ったのか、ご丁寧にももう一度口を開いた。

「あ、えっと、今日からお世話に…」



< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop