聖盤遊戯
1話 現実



真新しい制服に始めてみる校舎。
風が優しく怜の体を通り抜けていく。



『凰綸学園 中等部』



今日から怜が通うことになっている学園。
ここに転校になったのは父親の転勤、というありがちな理由で。



父親はいつも仕事で忙しくて家に居ない。
そのうえ母親も働いているから、怜はいつも一人だった。
初めは寂しかった気がするけど、もう平気。



しかも、この学園は寮制のある近頃では珍しい学園。
だから親のことなんて気にせずに居られる。
つまり、自由ってこと。



やっと面倒ごとから開放される、そう思った時。
いきなり背後から声が聞こえた。



「転校生の天樹君、ですね」


< 2 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop