僕等がみた空の色
第18楽章 色褪せたもの。








あたしはと言えば。




すっかり冷めたミルクティーと食べかけのチーズケーキを前に、イスの背もたれにもたれにもたれ、ぼーっとしていた。




忘れてることなんて知ってる。

ものすごく思い出したいとも思ってる。



自分が一番分かってる。

なんなんだ、あのチャラ男。


分かってる分かってる分かってる。




あそこまで発破かけるんなら全部言えよ。
一番悔しいのはあたしなんだ。
もどかしさを感じてるのはあたし。


結局、あたし以外の人は全部分かってて、あたしだけ一人なんにも知らない。





ううん、忘れてるんだ。







だからって思い出そうと思ったからって、そんなすぐには湧かない。

そりゃそうだ。






「…っもー!どーすりゃいいのよ…!!」



人目を気にせず涙目になりながら叫んで突っ伏す。

視線が突き刺さっているのが分かるけど、今はどーでもいい。





< 254 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop