Devil†Story
ク「…何がだ?」


輝「最後に…ク…ロム…お兄ちゃんに…会えて……」


ク「……」


輝太は笑顔でそう言う。


馬鹿だな……。


俺はお前を殺しに来たんだぞ……。


ク「……輝太。俺は…」


輝「知って…るよ…。クロ…ム…お兄ちゃ…んが…僕を…殺しに…来た人でしょ…?」


ク「! ……知ってたのか…」


俺の言葉に頷く輝太。


だったら何故……。


輝「それ…でもお兄…ちゃん…に…会えたのは…嬉しかった…んだ…。
それに…知らない…人…に…殺さ…れる…くらい…なら…ク…ロム…お兄ちゃんに…殺された…方が…良い…もん」


段々話すのも苦しそうだ。

それでも話続ける輝太。


輝「え…へへ…。お兄…ちゃんは…優しい…ね」


ク「はぁ?優しくなんかねぇよ」


輝「優…しい…よ…。なんだ…かんだ言って…一緒に居て…くれたし…今日…は…来てくれた……。
今だって…僕の…話を…聞いてて…くれてる…でしょ…?」


ク「それは稀琉が煩かったのと、仕事だからだ。感情で居るわけじゃない」


俺は冷たく言い放ったが輝太は笑うだけだった。


輝「えへへへ…本当…クロム…お兄ちゃん…は…素直…じゃ…ない…なぁ…。ゲホッ!ゲホッ…!」


ピチャッ…


口から血を吐き出す輝太。

その小さな命の灯火が消えるのも時間の問題だろう。
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