Devil†Story
「ちょっと、クロムやめなよ――クスッ」

止めようとした稀琉だったが、無理矢理引っ張られた麗弥の顔を見て、つい笑ってしまった。

「ひる!?ひょっほ!ふぁらふぁんひょいふぇら!ひゅか、とめふぇ!(稀琉!?ちょっと!笑わんといてぇや!つか、止めて!)」

「そこらへんにしときなよー、クロム」

刹那がやっとそう言ったので、クロムは止めた。

「い…痛い…ほんまにちぎれたかと思うたわ…」

真っ赤になった頬を擦りながら麗弥は言った。

「ゴ、ゴメン、麗弥!つい」


「稀琉〜!お前だけなんやからな!?止めてくれるの!」

「だから、ゴメンって〜」

そう言って話す2人をよそ目に、クロムは「くだらない」と壁に寄りかかった。

「………」

スッとロスがクロムに近づいた。

「……もう、気にしてないと思ってたよ」

「!」

今まで黙っていたロスがそう呟いた。その言葉にクロムはロスを見たがロスは腕を組んで前を見ていた。クロムはすぐにロスから目をそらした。

「………本当だよ。………」

そう呟いたクロムの顔はやはりいつもより悲しげだ。

「俺が……あんなことで…苛々すんなんてな……。……我ながら……腹が立つ」

さっきのことを思い出したのか、クロムは目を瞑った。

「………」

ロスは黙ったまま壁に寄りかかった。

「………だが、俺の話は…すんな。俺にとって…過去はイラナイものだ。寧ろ……消えれば良いくらいな」

過去なんかなけりゃ……俺は…。

クロムの言葉に、ロスは間を置いて答えた。

「……分かったよ。俺も悪かった」

「ん……」

そう言ったクロムの顔はやはり悲しげに見えた。

「しかし…お前があんなに感情出すなんて何年振りだよ」

「……消えれば良い」

「えっ?」

ロスは聞き返した後にクロムを見た。クロムは胸の辺りを掴んだ。

「この感情も消えれば良いんだ。俺に必要なのは……憎しみだけで充分だ」

「クロ……」

「人間を……アイツを殺す為の憎しみだけ……残れば良いんだ。他には何もイラナイ」

「………」

驚く程、本心を出したクロムの話をロスは黙ったまま聞いていた。
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