Devil†Story
稀琉、ロス、刹那が部屋に帰ってきて再度話し合いが行われた。


改めて稀琉と麗弥の憑き物が取れたような表情に刹那は安堵した。


「それで…クロムには言ったんやけど、ソルトってゆー子にやられたんのは、それっきりやからええんやけど…ミシェルちゃんは俺の人形を持ってるからそこが心配なんや」


ふぅと溜め息をつきながら麗弥は呟いた。


「にゃーるほど。麗弥の人形を持ってるってことは、意識までは無理でも…操られるかもってことね」


ロスの言葉にコクンと頷く麗弥。


そんな麗弥に、クロムは先程言ったように答えた。


「遠慮せずに俺んとこ来たら何も心配いらねぇぞ。半殺しにしてやる」


「イ・ヤ・で・す!もちろん、気持ちは強く持つつもりやけど…もしってこともあるやん!?せやから、その時の穏便な対処を練るんやって!」


「そうだよね…。咄嗟に個別でこられたら…流石に冷静じゃなくなる気がするし…麗弥も、気が気でないよね」


「じゃあ、縛り付けるか」


クロムの恐ろしい一言に直ぐに麗弥は反撃する。


「ちょっ!!俺、怪我してるのに自由まで奪われるん!?」


「じゃあ、選べ。縛られるか、半殺しか。俺も視野に入れてだぞ?」


ニタリと笑ったクロムの顔は恐ろしい。


そんなクロムの間にロスが入った。


「まぁ、縛るなら手伝うよ?」


…違う意味で。


「イヤやって!ロスは、爽やかに見えて度Sやから!」


「加減するよ?♪」


「語尾の♪が怖いって!」


キラキラとした笑顔で言うロスだったが、やがて「冗談だって♪」と言った。


「じょ…冗談に聞こえないよね。ロスの言葉って」


稀琉も、困ったように呟いた。


「まぁ、冗談は置いといて…。俺は体術で…痛くはしないようにするけど押さえるのがいーと思うよ。で、暴れたら仕方がないから縛る」


「結局縛られるんか!…でも、確かにそれが1番えーかも」


何かするよりはよっぽどその方が良い。


麗弥は、頷いた。


「あっ、でも刹那んとこ行ったら…」

ロスの言葉に刹那は答えた。


「一応こういう事業のしてるオーナーだからね。体術位はそれなりにできるから大丈夫。それに、逃げ足だけは早いから★」


そう親指を立てて笑う刹那。


「あっそうなんだ。逃げ足は分かるけど」


「む…。それは、それで失礼だな」


ロスの言葉にぷぅと頬っぺたを膨らせる刹那。


「…仕方ない。刹那が弱いのは知ってるからな。見張りをつけるか」


「君たちが強すぎるだけで俺は一般人なんですー」


今度はいじけたように口を尖らせる刹那。


…本当に質の悪い25だな。


クロムは、密かにそう思った。見張りか。なら…。


「見張りならなんとかしてやる」


「見張り?クロムが?」


不思議そうに聞く稀琉に「阿呆。んな訳あるか。クローにだ」と窓を開けて黒い笛を吹く。


すると直ぐ様、クローはクロムの所に飛んできて肩に止まった。


「へっ?クローに?」


驚く麗弥にロスは「あー、にゃるほど」と納得したように呟いた。


「クローは、そこらの鴉とは違う。お前のその残った1つの目くらいなら潰せるだろうな」


クロムの言葉に返事をするかのように「カー」と鳴いた。


「ちょーい!!目潰しとかやめさせてよ!?」


盛大に突っ込む麗弥。


当たり前だろう。


目なんか潰されたらたまったものではない。


「それが、嫌なら刹那んとこは行くなってことだ。…俺は待ってるぜ?お前を半殺しにできる貴重な経験だからな?」


ニタリと笑うクロム。


「ほんまおっかないわー!やめてーや!」


半分泣きながら麗弥はクロムに言い返すのであった。


その後、話し合いは元に戻り…もし操られた場合はクロム(守る気はさらさらない)、ロス、稀琉は体術を駆使して麗弥を押さえて手足を一時的に縛ることとなった。


刹那の所に行った場合は、刹那ができる範囲で押さえて手足を一時的に縛る所は同じだが、もし押さえられなかった場合はクローが他の誰かが来るまでは羽などで妨害して刹那が安全な場所まで退避する。

他の従業員も同様に対応しようとのことになった。


「せやな…。これなら安心して療養できるわ」

麗弥は、本当に安心したように言った。


「それまでに…敵の動向位、察知できるように動いとけよ。刹那」


「うん、分かってる。そこは、任せて」


クロムの言葉に刹那は頷いた。


「じゃあ、麗弥…。早く怪我治してね」


稀琉は、心配そうに麗弥に言った。


「…おう!任せとけって!」


麗弥は、そんな稀琉を安心させるようにニカッと笑ってピースした。


流石に、醜鬼になったとはいえ…今回の怪我は治るまでに一筋縄ではいかなそうだ。


それは理解していたが、麗弥は稀琉が悲しそうにしている顔を見るのが嫌だった。

だからこそ、そう言った声掛けをしたのだ。


「うん。お大事にね」


そんな麗弥の誠意が伝わったのか稀琉は笑顔を見せながら頷いた。


こうして、麗弥は怪我の療養とあやつりに対しての対抗を、刹那たちは敵の動向を掴むために動き出した。


正直稀琉は言葉ではロスにあぁは言ったものの不安が全て綺麗に拭えた訳ではなかった。


ただでさえ、トラウマであろう兄との因縁…


それを乗りきるには相当のエネルギーと根気を要するが今は中々難しい。



でも…下ばかり見るのはやめたんだ。


強く…なるんだから。



稀琉はギュッと拳を握りしめて決意した。
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