Devil†Story
「…ここか」


ポツリとクロムは呟いた。


刹那に携帯で簡単に報告してから2人は気配がした場所に向かった。


そこは古びた屋敷で…洋風な白い建物だった。


「あぁここだぜ。ついでに言えば…稀琉の気配がすんのもここだ」


「そうかよ。さっさとブン殴りに行くぞ」


「あっ、ちょいまちーー」


ロスが何か言いかけたが、そのまま建物の中に入ろうとした時だった。


ーーバチッ


「!?」


強い静電気の様なものを感じ、手を見てみると手袋が焼け焦げたようになっていた。

クロムたちの衣類はデザインもさることながら…戦闘用に作ってあるので丈夫だ。


その手袋が焼け焦げるくらいの何かがそこにあった。


「あらー大丈夫?だから言ったのに~」


「…結界か?」


「だなー。やっぱ俺が張るのとは違うけど。そして…」


ロスはスッと手をかざして見えない結界の力を感じ取っていた。


「んー…。なんか稀琉の力も感じるな」


「…は?」


イラッとしながら、クロムが聞き返すとロスは答えた。


「もしかして脅されたのかねー。作った感じはしねぇから…よく分からないけど言われた通りにやったのかもな。どれどれ。そこまで強い訳じゃないから俺が壊して…」


ロスがそう言った瞬間だった。


「はっ…ふざけやがって」


「へっ!?」


ロスが驚く中、クロムがそう言って結界に手を突っ込んだ。


バチバチバチッと火花が散るなか、クロムは無理矢理抉じ開けようとしていた。


「待て待て待て!!いくらそんな強くねぇって言っても俺が触るのとお前が触るのではちげーんだぞ!?」


ロスが言うようにクロムの両腕は、少しずつ焼けてきていた。


しかしクロムはロスの言葉を無視して強引に腕を左右に振った。


バチッ!!


ーーシュウ…


「あらら」


屋敷全体に張ってあった結界がシャボン玉の様に消えてなくなった。


クロムの両腕は軽い火傷があったが、そんな火傷の痛みよりも勝るものがあったようだ。


…そう。怒りが。


「あの野郎…見つけ出してぶん殴ってやる」


低いトーンで言うその声には怒りが思い切り入っていた。


(あらら…よっぽどムカついてんのねー…。めっちゃ怒ってるじゃん)


「あのー…クロム…さん?」


ロスが声をかけると振り向きもせずクロムはそのまま中に入っていく。


「…行くぞ」


今は言葉を発すると怒りが出てきてしまうらしい。ロスの方を見向きもせずにクロムは中へ入っていった。


ロスは何も言わず「あいよ」と返事だけして中に入っていった。


長年一緒に過ごしていれば扱い方にも慣れてきたというもので…こういったときは黙って何も言わないのが1番だとロスは知っていたからだ。


全く…


扱いづらい契約者だよ。


いや逆に分かりやすくて扱いやすいのか?


まぁ何にせよ…


あの時に比べたら…楽だけどな。


色々思い出すなぁ…。


黙ってずんずん進むクロムの後ろをついていきながらロスは密かにフッと笑った。








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