Devil†Story
「それが帰って来ないんだ。さっきまでそれを皆で話してたんだよね」
「どっか行ったんじゃねぇのか?ガキじゃあるまいしほっときゃいいだろ」
「んー…それはそうなんだけど連絡もないからさ。最近殆どの血液が抜かれた変死体が見付かってるからちょっと心配でね」
ここ最近変死体に関するニュースが連日テレビを賑わせていた。その死体からは殆ど血液が抜かれており未確認生物や吸血鬼の再来かと話題になっていた。まず普通の人間による犯行でないことは明白であった。
「麗弥なら平気じゃね?訓練受けてるし、やられるようなたまじゃないだろ」
ティーカップを机に置いたロスが机に上半身を寝転ぶようにつけながら聞く。彼も"裏の従業員"だ。武装した大人複数人相手でも余裕でのせるほどの実力は持っている。ここにいる稀琉も例外ではない。馴れ合いを好まないクロムやロスでも2人の実力は知っていた。
「それはそうだけど…。実はもう1つ気になる情報を耳にしててさ。その情報は表には出回ってないんだけど俺たちみたいな仕事をしている人を狙う狩人が出没してるらしいんだよね」
「オレ達ってことは…」
「そう。俗に言う裏の仕事のことだね。ヤクザの事務所とか暗殺とかを生業にしている組織をターゲットにしてるってこと」
「今ニュースでやってる変死体の半数以上はまさに同業者だったりするから」と付け足す。この仕事は人の恨みを買うことも多い。常に逆に命を狙われる可能性を孕んでいる。大切な人を奪われた被害者が復讐者となり自身の命を賭けて襲いかかってくることが稀に起こっていた。そう言った復讐者を裏の世界では狩人と総称されていた。
「にゃるほどねー。相手が殺しに慣れてる可能性が高いからってことか」
先程クロムに猫語のことをバラされて吹っ切れたのか少し可愛い言い方をしたロスが指を立てた。
「そうなんだよね。だから少し心配なんだよ。相手が何者なのかにもよるからねぇ…」
肘と溜め息をつきながら刹那は言った。狩人だった場合、ただの一般人ならなんの心配もない。しかしBCでも行っている"復讐屋"が相手だとすると話が変わってくるのだった。復讐屋のターゲットは裏の人間になることも多い。だからこそそれなりに実力のあるメンバーが先出されている。そうなると実力次第ではやられてしまうこともあり、まさに刹那が言った"相手が何者なのか"によってはこちらの命を失うことも充分にあったのだ。
「そんな噂が流れてたんだ…。大丈夫って思いたいけど心配だな」
心配そうに眉を潜める稀琉。しかしクロムは相変わらずぶっきらぼうに答える。
「そんなくだらねぇ心配してんじゃねぇよ。あんな馬鹿でも仮にも裏の従業員だ。その内ふらっと帰ってくるだろ。俺は自室に戻るぞ」
言葉は冷たいが麗弥の実力は認めているかのような発言をしつつ、くるりと身を翻した。
「俺も麗弥は弱くないから大丈夫だと思うよー。じゃあ俺も戻るかなー」
ロスもフォローを入れ、同じように後ろを振り返る。自室に戻ろうと2人が歩み出そうとした瞬間だった。
ガシッ
「!」
「あっ」
クロムのコートを刹那が掴んだ。いきなり掴まれたのでクロムは転びそうになった。
「なんだよ!いきなり掴むな!」
クロムはギロッと睨みながら言った。相変わらず目は充血し迫力がある。だが、そんなクロムを尻目に刹那はニコニコとしながら「やっぱり心配だからちょっと見てきて⭐︎」と言った。
「はぁ!?なんで俺がそんな事しなきゃなんねぇんだよ!大丈夫だっての!」
いまだに引っ張られているコートを引っ張り返す。しかし刹那は掴んだまま表情を変えない。
「そんなこと言わずにさ〜。散歩がてら見てきてよ」
「行かねぇぞ!俺には関係ねぇだろ!」
「同じ職場の仲間じゃーん?ちょっとだけでいいからさ!」
「仲間とか知らねえよ!」
まるで綱引きをしているように互いにコートを引っ張り合う。普通のコートなら千切れているだろうが流石戦闘用のコート。かなり丈夫に作られているのでビクともしない。
「分かった分かった!そんなに言うならこれは任務にするから!それならいいだろ?」
笑顔の刹那に対してクロムの顔は更に怒りが増していた。
「どっか行ったんじゃねぇのか?ガキじゃあるまいしほっときゃいいだろ」
「んー…それはそうなんだけど連絡もないからさ。最近殆どの血液が抜かれた変死体が見付かってるからちょっと心配でね」
ここ最近変死体に関するニュースが連日テレビを賑わせていた。その死体からは殆ど血液が抜かれており未確認生物や吸血鬼の再来かと話題になっていた。まず普通の人間による犯行でないことは明白であった。
「麗弥なら平気じゃね?訓練受けてるし、やられるようなたまじゃないだろ」
ティーカップを机に置いたロスが机に上半身を寝転ぶようにつけながら聞く。彼も"裏の従業員"だ。武装した大人複数人相手でも余裕でのせるほどの実力は持っている。ここにいる稀琉も例外ではない。馴れ合いを好まないクロムやロスでも2人の実力は知っていた。
「それはそうだけど…。実はもう1つ気になる情報を耳にしててさ。その情報は表には出回ってないんだけど俺たちみたいな仕事をしている人を狙う狩人が出没してるらしいんだよね」
「オレ達ってことは…」
「そう。俗に言う裏の仕事のことだね。ヤクザの事務所とか暗殺とかを生業にしている組織をターゲットにしてるってこと」
「今ニュースでやってる変死体の半数以上はまさに同業者だったりするから」と付け足す。この仕事は人の恨みを買うことも多い。常に逆に命を狙われる可能性を孕んでいる。大切な人を奪われた被害者が復讐者となり自身の命を賭けて襲いかかってくることが稀に起こっていた。そう言った復讐者を裏の世界では狩人と総称されていた。
「にゃるほどねー。相手が殺しに慣れてる可能性が高いからってことか」
先程クロムに猫語のことをバラされて吹っ切れたのか少し可愛い言い方をしたロスが指を立てた。
「そうなんだよね。だから少し心配なんだよ。相手が何者なのかにもよるからねぇ…」
肘と溜め息をつきながら刹那は言った。狩人だった場合、ただの一般人ならなんの心配もない。しかしBCでも行っている"復讐屋"が相手だとすると話が変わってくるのだった。復讐屋のターゲットは裏の人間になることも多い。だからこそそれなりに実力のあるメンバーが先出されている。そうなると実力次第ではやられてしまうこともあり、まさに刹那が言った"相手が何者なのか"によってはこちらの命を失うことも充分にあったのだ。
「そんな噂が流れてたんだ…。大丈夫って思いたいけど心配だな」
心配そうに眉を潜める稀琉。しかしクロムは相変わらずぶっきらぼうに答える。
「そんなくだらねぇ心配してんじゃねぇよ。あんな馬鹿でも仮にも裏の従業員だ。その内ふらっと帰ってくるだろ。俺は自室に戻るぞ」
言葉は冷たいが麗弥の実力は認めているかのような発言をしつつ、くるりと身を翻した。
「俺も麗弥は弱くないから大丈夫だと思うよー。じゃあ俺も戻るかなー」
ロスもフォローを入れ、同じように後ろを振り返る。自室に戻ろうと2人が歩み出そうとした瞬間だった。
ガシッ
「!」
「あっ」
クロムのコートを刹那が掴んだ。いきなり掴まれたのでクロムは転びそうになった。
「なんだよ!いきなり掴むな!」
クロムはギロッと睨みながら言った。相変わらず目は充血し迫力がある。だが、そんなクロムを尻目に刹那はニコニコとしながら「やっぱり心配だからちょっと見てきて⭐︎」と言った。
「はぁ!?なんで俺がそんな事しなきゃなんねぇんだよ!大丈夫だっての!」
いまだに引っ張られているコートを引っ張り返す。しかし刹那は掴んだまま表情を変えない。
「そんなこと言わずにさ〜。散歩がてら見てきてよ」
「行かねぇぞ!俺には関係ねぇだろ!」
「同じ職場の仲間じゃーん?ちょっとだけでいいからさ!」
「仲間とか知らねえよ!」
まるで綱引きをしているように互いにコートを引っ張り合う。普通のコートなら千切れているだろうが流石戦闘用のコート。かなり丈夫に作られているのでビクともしない。
「分かった分かった!そんなに言うならこれは任務にするから!それならいいだろ?」
笑顔の刹那に対してクロムの顔は更に怒りが増していた。