やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
隣の真木ヒナタを見ると、まるで自分は関係ないというように、女性の声色を使って、隣に立っていた女性に「まったく、嫌ですわね。」と私を見下しながら、話しかけていた。
私は、真木ヒナタにムカつきながらも、気を取り直して、ステージ上を見ると男性の紹介が始まろうとしていた。
「それでは、葵様と婚約をされる源様からご挨拶をお願い致します。」
椿 麗子からマイクを受け取る源。
想像通りの爽やかな声で話し始めた。
「初めまして。今度、葵様と婚約させていただきます源悠斗と言います。・・・・・・・・」
噛むこともなく、スラスラと話し続ける源悠斗。
それにしても、あまりにその源悠斗の話を聞く女性達の視線が熱いので、私は、不思議に思い、執事に聞いた。
「龍一さん、あの源って人、有名人なんですか?」
「はい。私も見たのは初めてですが、華木組の企業舎弟のミナモトグループの社長が、あの源悠斗です。」
「・・・企業舎弟って?」
「簡単に言うと華木組の下部組織みたいなものです。華木組にお金を献上するためにある会社と思っていただければ間違いありません。」
執事が、小声で私に説明した。
「・・・そのミナモトグループって何をしてるんですか?」
「確か・・・ホストクラブや普通のクラブなど20軒近く営業しているはずですけど。・・・あと、源悠斗本人も、カリスマホストとして店に出ているとは聞きましたけど。」
執事が、思い出しながら、話してくれた。