やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「はい。龍一さんから、1億円稼いで来いって言われて、組長は、1ヵ月勝負に巻き込まれるし、しかも、子供まで連れて帰って来て・・・・。まったくもう、何から手をつけていいのか・・・」
私は、天井を見ながら、ゆっくりと考えをまとめながら話す。
「こんな時、龍一さんなら、うまく対応するんでしょうけど・・・私には、何から手をつけたらいいのか・・・・どう思います、真木さん?」
私が、視線を目の前の真木ヒナタに戻すと、そこには、テーブルにうつぶせて寝た真木ヒナタの姿があった。
「・・・・・・・・・真木さん、・・・・・・起きてください。」
私は、真木ヒナタの肩を揺らしながら、起こした。
「んにゃ?・・・・何だよ、小夜。人がせっかく気持ちよく寝てんのに。」
機嫌が悪そうに起きる真木ヒナタ。
「・・・・いや、寝てんのにじゃなくて、私の話聞いてくれるんじゃなかったんですか?」
私は、呆れながら、真木ヒナタに言った。
「えっ?俺も、そのつもりだったんだけど、小夜が朝食を何にしようか迷ってんのかと思って声を掛けたのに、しょうもない話をされて、つい寝ちゃったんだよ。」
「・・・・・・何で、私が、朝食を何にしようか悩んでいると思ったんですか?」
「だって、ここ台所じゃん。」
「・・・・・もう、いいです。寝ます。」
私は、ふてくされたまま、私の寝床である押入れへと向う。
ムギュッ!
私は、押入れへと向う途中で、部屋ですでに寝ていたポチのお腹を思いっきり踏みつけた。