やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第3節:銀行強盗にも色々。
銀行員10人、居合わせたお客10人、警備員2人が壁際に集められた。
銀行の入り口には、シャッターが降ろされ、窓はカーテンで隠される。
私達の前には、銀行強盗の一人が拳銃をこちらに向けて立っている。
もう一人の銀行強盗は、カウンター越しに支店長らしき人物と向き合っているのが見えた。
強盗は2人とも、かなり太っていたが、身長は、165cm程度しかない。
服装は、上下共に黒のスウェット。
顔には、よくお祭りの夜店で売られているプラスチックの仮面を被っていた。
「このカバンに5,000万円入れろ!」
支店長らしき人物とカウンター越しに向き合っている銀行強盗が言っているのが、緊張感に包まれた銀行内に響き渡った。
支店長は、出来るだけゆっくりとカバンにお金を入れているのが見えた。
「サブさん・・・」
私は、前に立っているサブに小声で話しかけた。
「・・・・小夜、静かに。」
サブは、私が目立たないように、サブの後ろに私の姿を隠してくれている。
銀行の外からは、パトカーが近づいてくる音が聞こえてきた。
私は、微妙にカーテンで隠れてない窓の端から外を見ると、銀行の周りはすでに野次馬だらけだった。