やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「お、お兄ちゃん、パ、パトカーだよ~。」
私達の前に立っていた銀行強盗が、パトカーの音を聞いて、焦ったような声でもう一人の銀行強盗に声を掛ける。
「こら!ミチ!お兄ちゃんって呼ぶなって言っただろ!今、銀行強盗中だぞ!」
支店長がお金をバックに入れるのを見張っていた、もう一人銀行強盗が叫ぶ。
「・・・・・・兄弟みたいですね。」
「・・・・そうだな。」
私とサブが、周りに聞こえないような小声でお互い見ないようにしながら話す。
「ご、ごめんよ、お兄ちゃん。」
私達の前にいる銀行強盗が謝った。
「あ、あの~・・・」
その時、私達と一緒に壁際にいた銀行強盗をしようとしたお爺さんが、一歩前に出た。
そのお爺さんの行動に私達は緊張する。
拳銃を構えている銀行強盗の前に出るなんて、自殺行為と言われても仕方ないことだった。
「・・・・お爺さん、どうしたの?」
しかし、私達の予想に反して、銀行強盗の声は、優しかった。
「あの~・・・仲間にいれてもらえませんかのぉ~。」
お爺さんの言葉に一同呆気にとられる。
「仲間?・・・・うん、いいよ!」
うれしそうな声で答えるミチと呼ばれた銀行強盗。