やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第12節:カツ丼orラーメン
車で15分行った所にその建物は、存在していた。
私は、ポチの運転する車を降りて、その建物を見上げる。
「・・・・やっぱり、何か嫌なカンジがしますね・・・。」
「小夜さん、小夜さんには、一生縁のない所ですから、そんなに怯える事はありませんよ。」
私の後から降りてきた執事が、笑いながら私を見た。
「そ、そうですよね。・・・でも、やっぱり、警察ってどこか威圧的で好きになれないんですよね。別に悪いことしてるわけじゃないんですけど・・・。」
私は、警察署を見上げていた視線を執事に移した。
私の視線を受けて、優しく微笑む執事。
警察署から受けていた威圧感が、あっという間に飛んでいってしまった。
(やっぱり、見るんなら、警察署より龍一さんの笑顔・・・)
私は、必死ににやけそうになる表情を我慢して、心の中でつぶやく。
「・・・・小夜姉さん、勘違いしちゃいけませんぜ。」
そんな私の至高の瞬間をポチが、話しかけてきて台無しにした。
「・・・何がですか?」
私は、あからさまに嫌そうな表情でポチを見る。
「小夜姉さん、はっきり言って、あなた、大犯罪者ですよ!!」
いきなり私の顔を右手で指差し、ズバッと言い切るポチ。
「な、何を根拠にそんなことを言い出すんですか?」
いきなりポチにズバッと指さされて、少し驚いた表情になる私。