やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「悪かったな、しつこくて。」



「わっ!!す、すいません。」



私は、いきなり後ろで声がしたので、驚いて振り返るとそこには、いつの間にか加藤刑事が戻ってきていた。



私は、顔を真っ赤に染めながら、加藤刑事に頭を下げる。



そんな私を微笑ましい表情で見ながら、執事が加藤刑事に尋ねた。



「そういえば聞いたことなかったですが、加藤さんは、御結婚はなされたのですか?」



「・・・誰とだ?」



執事の質問に不機嫌そうに聞き返す加藤刑事。



「いえ、誰というか、どなたかと。」



不機嫌そうな加藤刑事の表情に気後れすることなく聞く執事。



私は、加藤刑事と執事のやり取りをドキドキしながら眺めている。



「俺のしつこさをなめるなよ、くそ餓鬼!俺は、ずっと片思いだよ!」



「ずっとというと・・・まだ、死んだ大和の・・・」



執事の表情が驚いたような表情に変わる。



「死んだ?・・・・だから、くそ餓鬼なんだよ。死んだら、お前の相手への愛は終わるのか?そもそもそんな軽い気持ちを愛と定義していること自体がくそ餓鬼なんだよ。相手が生きていようが死んでいようが、そんなことは関係ないんだよ。俺は、俺の愛を最後まで貫くだけさ。」



初老とは思えない生き生きとした表情で語る加藤刑事。



私と執事は、そんな加藤刑事の顔から目を離すことができなかった。


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