やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・失礼しました。」
執事が、加藤刑事に丁寧に頭を下げる。
私も、執事に続いて頭を下げた。
「・・・いや、・・・こっちこそムキになって悪かった・・・。」
冷静さを取り戻した加藤刑事は、視線を少し上に向けながら、恥ずかしそうに頭を掻いていた。
私は、そんな加藤刑事を見ながら、心の中で考えていた。
(私は、相手が死んだ後も何年も、その愛を貫くことができるんだろうか?)
横目で執事を見る。
(・・・私の愛は、どこまで本気なんだろうか?)
私は、加藤刑事の気持ちを前にすると、自分がどれだけ本気で執事のことを好きなのかわからなくなってしまっていた。