やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「えっ、ワンワン、ダメなのか?」
「うん。だって、ジョンは犬じゃないもん。」
「ジョンは、犬じゃないのか?」
「コアラなのぉ~!」
「・・・・・・・コ、コアラ・・・・かぁ~・・・・ず、ずいぶん裕福な家庭なんだな・・・・。」
「うん。総資産100億円の家庭なの。」
「・・・ずいぶんと夢のある金額だね。」
「うん。美奈のママがねぇ、いつも美奈に言ってるのぉ~。結婚するなら、100億の男って。」
「・・・・・・・・うん、決して間違ってはないよな・・・・間違いではないよ・・・・。」
大和は、悲しそうな笑みを浮かべながら、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
「それじゃ、大和パパは、あの木のところに行ってぇ~。」
美奈は、芝生の近くにある1本の見事な桜の木を指差した。