やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・もしかして。」
大和は、不安一杯の表情で美奈を見た。
「コアラは、木の上。」
純真な子供の笑顔。
その笑顔には悪意など一欠片も感じられない。
「・・・・・・・だ、だよねぇ・・・・コアラは・・・・木の上だよねぇ~・・・・・。」
言葉の端に溢れる悲しい響き。
大和は、とぼとぼと歩き出し、ゆっくりと立派な桜の木に捕まる。
「う~ん、もうちょっと上かなぁ~。」
「だ・・・だよねぇ~。」
必死の形相で桜の木を登り始める大和。
「うん!そこでいいよぉ~。 」
満足そうな表情で大和に声をかける美奈。