やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「だって・・・その時は、ポチに裏切られたのが悔しくて・・・。」
悔しそうな表情の組長。
「そもそも、ポチさんは、ああいう生き物ですし、仲間じゃないですから。」
断言する私。
それにうなずく執事。
納得の表情の組長。
「なるほど、さすが小夜。要するに、ポチは、人間として認めないと言っているんだな。」
「それ以外に聞こえましたか?」
「・・・・聞こえないけど、・・・・最近、ちょっと、小夜、龍一っぽくなってない?」
組長が、苦い表情で私を見た。
「えっ?」
私は、組長の言葉に何故か恥ずかしくなり、うつむいて頬が赤くなってしまった。
(私、自分でも気づかないうちに、龍一さんの真似をしていたの?)
それを自覚できてないだけでなく、そのこと自体を執事の目の前で組長に指摘されたのが、恥ずかしかったのだ。