やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】

第18節:逆ナン




そんな私の幸福な時間も長くは続かなかった。



ガチャッ。



「入るわよ。」



いきなり取調室のドアが開き、女性1人と男性2人が入ってきた。



男性の一人は、純日本人風の顔立ちをしており、普通のスーツを着た男性で、もう一人は、2メートル近い白人で、いかにもボディーガードですという感じで入ってすぐに周辺の状況を確認している。



そして、女性は、髪は金髪、肌は白く、服は黒のスーツを着ていたが、その胸元は、スーツというには異常といえるほど開いていた。



目の色は、サングラスをかけていたので見えないが、多分、黒ではないだろう。



そう確信が持てるほど、女性の雰囲気は、日本人離れしていた。



「・・・小夜さん、大和の後ろに移動してください。」



執事は、甘い雰囲気から一転、見ただけで痛くなるほど冷気をその表情に浮かべた。



私は、何度も危険な状況を経験してきただけに、執事に言われたとおり、何も言わずに組長の背中の後ろへと移動した。



女性は、入ってすぐに、真っすぐ執事の目の前まで歩いてきた。



男性2人は、女性から後ろに2歩程度距離をとって立っている。



執事の顔と女性の顔の距離は、20cmも離れていない。



どちらかが、少し前に動いただけでキスをしてしまいそうな距離。



そして、この時、私は気づいたのだが、女性は、かなり長身だった。



執事とほとんど変わりない身長。



女性の後ろに立っている白人の男性が、あまりに長身過ぎて、女性がここまで長身とは気づかなかったのだ。



「まさか、こんなところでお会いできるとは。」



執事の表情は、微笑みを浮かべているが、先ほどと同様に非常に冷たい。

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