やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「うわぁ~!」
「逃げろ~!」
「やめてくださいよ、真木さん~!」
逃げ惑う私や組長やサブ達。
あれだけ和気あいあいとしたバーベキューが、あっという間に、地獄絵図に。
そして、1時間後、多数の野次馬と共に、私達は、屋敷の前の道路で見ていた。
・・・・闇夜に映える綺麗な赤色の炎で燃える屋敷を・・・
遠くから、ここに向っている消防車の音が響いてきた。
「・・・・・俺、旅に出ていいかな?」
私の隣に立っていた組長がつぶやく。
「・・・私も一緒にいいですか?」
私も組長に聞いた。
「・・・俺も一緒に行くよ。」
真木ヒナタも言った。
私と組長と真木ヒナタは、顔を見合わせて、うなずき合う。
しかし、決心するのが遅すぎた。
私達の後ろから、よく聞きなれた声が聞こえてきた。
「・・・・・これは、いったい・・・・?」
私達が、恐る恐る振り返ると、そこには、呆然とした執事が立っていた。
「・・・・・・・・」
誰も執事の問いに答えることは出来なかった。
(・・・・・はぁ~・・・)
私は、今からのことを思って、心の中で大きなため息をついた。