やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「決まってるじゃないですか!今から行くのは、ビジネスの話し合いですよ?・・・真木さん、どう考えても、無茶苦茶にしそうじゃないですか!」
ただでさえ私は、頭から煙が出そうなほど、大変なのに、これ以上、問題を起こされては、たまらないという気持ち。
「・・・俺、もし、一緒に連れて行ってもらえなかったら・・・・・・龍一にチクっちゃうかも・・・・。」
私から視線を逸らし、つぶやく真木ヒナタ。
「・・・・・例えば?」
恐る恐る、真木ヒナタに尋ねる。
「小夜が、龍一の隠していた秘蔵の肉を食ったことや、龍一が可愛がっていた鯉を美味しそうに食べたこと・・・・言っちゃうかも。」
横目でにやけながら、私を見る真木ヒナタ。
「そ、それは、真木さんが無理やり食べさせたんじゃないですか!!!」
「・・・・その証拠は?」
「ウッ・・・・・・・・」
真木ヒナタに言われて初めて気づいた。
(証拠は・・・・ない。)
これが執事に知れれば、執事の本気の怒りを私が買う可能性もある。
(・・・・・・はぁ~、しょうがないな・・・・)
「お願いですから、静かにしておいてくださいね。」
私は、真木ヒナタに念押しした。
「任せろよ、小夜!静かにしておくことに関しては、俺は、日本一だよ?」
これ以上、信用のない言葉はない言葉を吐く真木ヒナタ。
しかし、他に選択肢がない以上、従うほかはなかった。
「それじゃ、遅れちゃいけませんから、行きますよ。」
私とサブは、真木ヒナタを同行者に加えて、店へと向った。