名も無き花
―人形の詩―

さぁ踊ろうよ

頭ん中 舞台の中央陣取って

あたしは 君と踊るために作られた人形なんだ




曲から垂れる糸に身を任せ

君の腰にまわした腕は 体温を奪うんだ

情熱が強ければ強いほど 腕を伝って吹き込まれる命




踊ってよ 一緒にワルツのリズムで

ロックにポップ何でもいけるよ?

重なり合った胴体通して 君の心音が伝わってくるね

それに合わせて あたしの鉛でできてる心臓も振動するんだぁ




悲しいことも 悔しいことも

曲にのせて 夜空に放り投げよぉ

そーすることで 今夜も星は輝けるから

そーすることで 今夜も君と踊れるのだから




君と踊っている間だけ

心臓は脈打って 肌は熱をもって 命が宿る

そんなあたしは 人形なんだ
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