秘密の★オトナのお勉強①
話の方向性を変えられたあたしは、戸惑いながらも小さく返事をする。
まさか自分の話をされているとはこれっぽっちも思っていない貞永は、どうやら休憩中らしかった。
「…演技の天才ですよ、貞永君は」
「天才…ですか?」
あたしが言葉を復唱すると、三谷さんは力強く頷く。
「ちゃんと作品の世界観を理解していて、それでもって私の期待に忠実に応えてくれる。…あんな俳優は、私は経験した事がなくてね」
「…経験した事のない俳優」
「あんなに完璧なのは、貞永君が初めてなんです。だからマネージャーである貴女にお願いがある」
「…お願い?」
「…貞永君の事を、信じてあげて下さい。そして、彼の秘めている力をもっと発揮させてあげて下さい」
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