僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
 家に入ると、優都は飛夏羽を自分の部屋に案内し、他の部屋へ行った。

「…優都の部屋…綺麗だなぁ。私の部屋より綺麗かも…」

 飛夏羽は自分の部屋と優都の部屋を見比べて、笑っていた。

 しばらくして、優都が部屋に入って来た。

 優都は首にタオルを掛けていて、既に私服に着替えていた。

「これ使いな。」

 優都は飛夏羽にタオルを渡した。

「ありがとう。」

 飛夏羽は濡れた髪をタオルで優しく拭いた。

「…ねぇ、優都。」
「何?」
「さっき、私の事守れなかったって言ってたでしょ?そんな事絶対無いから
ね。…覚えてる?お母さんが出て行った時の事。」

 飛夏羽が幼い頃に、父親は死に、母親は家を出て行ってしまったのだ。

 兄は居たが、兄は母親に連れて行かれたと言う。

 一人取り残された飛夏羽は泣きながら優都の家に駆け込んでいった。

「その時にね、僕が飛夏羽の事守ってあげるから。だから飛夏羽はここに居てっ
て言ってくれたんだよ。」

 飛夏羽は思った。この時初めて優都の事を、友人関係で好きなのではなく、恋
愛関係で好きだと思い始めたのは。

「そうだったんだっけ?小さい時の頃の記憶なんて全然無いや…」
「あはは!優都の事だからそう言うと思ってたんだぁ。」
「何それ。」

 優都は優しく微笑んだ。優都の笑顔を見て、飛夏羽も釣られて笑顔になってい
た。

「優都、やっと笑ったね。」
「え?」
「笑顔って、人を幸せにする不思議な力があると思うんだ。」

 飛夏羽に依ると、優都の笑顔には周りを幸せにする力以外にも、人の心を癒す
力も兼ね備えられていると言う。

「だから私も、優都の笑顔に何時も助けられて来た様なものだよ。」
「ありがとっ。」
「うんっ。」
 それから、あっと言う間に時間が経っていった。

 外を見てみると、雨は上がっていた。
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