PEACE
「俺らのいる惑星は二つの世界に分かれているんだ。上半分が俺達がいる『明白ノ世界』。そして下半分が『暗黒ノ世界』だ。俺達が生まれる前からこの二つの世界は戦をしてきたらしい」
雪夜は分かりやすいように、木の枝の先を使って、土に絵を描きながら説明する。
奈久留は時々頷きながら、雪夜の話を静かに聞いていた。
「そして、俺達が住んでいる明白ノ世界は五つの国に分かれている。北国、南国、東国、西国。そして、俺達の母国である内国の五つだ。
各国はそれぞれの国の王族が治め、内国はこの五つの国をまとめる、いわば明白ノ世界の頂点……と言ったところだ。
いままでは、奈久留の両親の行方不明で欠番だった王座を、今は退位した奈久留のおじいさんでもある久司さんが変わりに政治を行っていたおかげで内国はなんとかやっていたわけで、五つの国の均衡も保たれていた。
内国が崩れれば、他の国もいずれ崩れる。
それぐらい、内国はの存在は重要なんだ」
「それじゃあ……」
奈久留の顔から、みるみるうちに血の気が引いた。
「明白ノ世界と暗黒ノ世界は、ここ五年程停戦状態だったんだ。
五年前、今日のように、暗黒ノ世界の者達が城を襲い、奈久留の両親を連れ去った。
その時に俺は奈久留と城から一緒に逃げたんだ。けど……」
そこで雪夜は一度口を閉ざした。
(多分、私の記憶はその時無くしたんだ……)
奈久留はなんとなく理解した。