好きの気持ち【短編】
早く帰ってこたつにもぐろ。
そう思った時だった。
「あ……」
思わず声を漏らした。
見覚えのある顔。
人ごみに紛れて小さいけど確実に彼だってわかった。
だって、ずっと忘れられなかった人。
過去形にしていいのか分からないけどそれは確かに、
……好きだった人。
胸の奥がぎゅーっとなった。
……涼。
声は、かけれない。
すぐに姿が見えなくなる。
人混みに……消えてしまった。
あっという間の出来事。
けど確かに見えた。
……女の子がいた。
手を繋いで歩く姿は明らかに私の入る隙もない関係。