プラチナの誘惑
昴なんて、親の地位っていうおまけまで背負ってる。

逃げ出せない重みと寄り添いながらのこれまでに
きっと二人にしかわからない感情もあるはず。

それに気づいたから。

『悪魔の心』なんて
ふざけた言葉に置き換えて。

昴の気持ちが上向きになるように…言ってしまった。

けれど。
なかなかそんな気持ちは通じてくれない…。

「悪魔ってどういう意味だよ…。
嫌がる女に無理矢理迫った事ないぞ」

不機嫌にそう言って、
ぺちんっと私のおでこを指で弾いた。

「いたっ。何するの…」

弾かれた額を両手で抑えながら睨むのと同時に
抱き寄せられた…。

「…」

窒息しそうなくらいに強く抱きしめられたまま何も言えなくて、昴の腕の中でもがいてももがいても昴の腕に込められた力は強いまま。
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