プラチナの誘惑
「いや…。気分転換にちょうど良かったしな…
一人で部屋にいても彩香の事考えてばかり…いや。別にいいんだ」

淡々と言葉をつないでいた昴。
はっと思い直したように口を閉ざして、じっと私を見た…。

お店にいる何人かの女の人が確実に意識しているぐらい整った顔を向けられて、それだけでも落ち着かないのに。

天井を見上げてため息を吐かれてしまって…どうしていいのかわからない。

やっぱり、夕べ私を抱いた事…後悔してる…?

少しずつ落ちていく気持ちをどうすればいいのかわからないまま戸惑っていると…そっと私の鎖骨の上辺りに昴の手が伸びてきた。

優しく触れる指先の温度にきゅっと気持ちは揺れて声も出ない。

「…隠してないんだな」

「え?」

気のせいか、嬉しそうに聞こえる昴の言葉の意味がわからなくて、ただ見つめ返すと。
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