プラチナの誘惑
説明してくれる真田さんは、時折私に強い視線…何かを言いたげな…を向けて、優しく笑っている。

「引換券だけは、当日直接社長にお渡し下さい」

明るい客室に並べられた品物を見ながら、昴は手にしたリストと照らし合わせている。

真剣な顔をしながら確認する昴をちらりと見た真田さんは

「…彼が理由ですか?」

と昴には聞こえないような小さな声で…私の耳元に囁いた。

「え…?」

何の事を言われたのか、とっさに理解できなかった私は、あまりに近い距離にある真田さんの顔にたじろぎながら見上げると。

「写真よりも綺麗な人だったってわかって…残念ですよ」

「写真…?」

「…俺の写真も見ずに
断ったってこと?」

思わず口調の変わった真田さんは、しばらく私を見ながら驚いた様子で。

「…最初からする気なかったんですね。
見合い」

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