プラチナの誘惑
からかうような声を私の耳元に落とす真田さんの視線をたどると、不快な表情を露骨に浮かべている昴。

荷物の確認もそこそこに、私と真田さんをじっと見ている…というよりも睨んでいる。

「…見合いの話は言わずにいた方がいい?」

素早く尋ねる真田さんにとりあえず頷いた。

明日お見合いする話は前にしているけれど、昴にどう受け止められてるのかわからない今…話題にはしたくない…。
昴に抱かれた事がお見合いを断った理由だと重荷に考えても欲しくないから…。

実際、それが一番の理由なんだけど。

とりあえずは、私自身の言葉でちゃんと伝えたい事だから…お見合いの事は話題にしたくない…。

昴への気持ちを認めてしまった今、その気持ちを伝えるにしても諦めるにしても…もう少し時間の猶予が欲しい。
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