プラチナの誘惑
苦笑しながらそう言ってくれる日和。
軽くウェーブのついたつやつやの茶色の髪を頭の上でまとめあげて、どう見ても気合いの入っていない水色のスウェット。

まあ、いつもの格好。

素顔はいつも会社で見る顔より数段幼い。

それでも人形のように可愛い姿は見慣れてるはずなのに。

どこかはりつめていて、寂しそうな…。

表情だって笑顔作ってるだけで笑ってない。

「日和…?」

「恋愛なんて人間関係なんだよ。
相手を知っていくうちに好きになって離れられなくなって…。

誰よりも自分を好きになってもらいたいっていうわがままが、わがままじゃないのが恋愛だよね。

単に好かれてるだけじゃ
満足できないし悲しい」

思わず出てしまった言葉に、日和自身が驚いているみたいで。

片手を口に当てて、天井を見上げてる。
閉じた瞳からはほんの少し涙が光って見えるけど…。

私は何も言えずにただ驚いているだけ…。
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