プラチナの誘惑

「あーあ。まだ見合いするとか言ってるのか？」

「はっ？」

低い声に振り向くと。

リビングの入口にもたれながら呆れた表情で立っている…

「小椋さん？」

「逃がすかよ。
勝手に泣くなよって
言ってるだろ」

心臓が止まるかと…開いた口を閉じる事もできない…瞬きすら無理…

驚きを表す言葉全てを使っても足りないくらいの衝撃。

日和がここまで弱くなって泣き崩れている姿を目の当たりにしただけでも
どうしていいのかわからないのに、当たり前のようにこの部屋に立つ小椋さんに、私はどうすればいいのか。

日和の泣き方から、なんとなく…悲しい恋愛をしてるんだろうって、察しはついたけど…その事だけでも予想外なのに。

相手は上司の小椋さん？

意外すぎて…固まったまま動けない。