プラチナの誘惑
「で、そんなばかな誤解したからお見合いしようって思ったんだな」

低い声で尋ねる小椋さんは、軽く日和の頭を叩いた。

「勝手に誤解して突っ走るのはやめてくれ。
さっきのメールで見合いするからもう会わないなんて突然過ぎるだろ」

大きくため息をつく小椋さんの横で小さくなっている日和の表情は見えないけど、怒られながらも愛情を感じる言葉を噛み締めてるに違いなくて、羨ましい…。

「…ねぇ日和…。
お見合いって…もちろんしないよね…？」

そう…。
明日のお見合いを…どうすれば。

「ごめん。もうしない。彩香のお母さんにも謝っておいてね。
私からお願いしたのに」

小椋さんを見上げながら謝る日和は、本当に申し訳なさそうにしている。
小椋さんも、苦笑しながら

「悪いけど、もう見合いの話は回さなくていいから」

「あ…はい。それはもちろん」

そう言いながら。
気になるのは。

「あー。真田さんに、また断らなきゃ」

テーブルに肘をついて頭を抱える私。

一度ならず二度までも断る事になってしまって、真田さんに申し訳なくてどうしていいか…。

「あぁ…。ちゃんと電話しなきゃ」

< 244 / 333 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop