プラチナの誘惑
大学時代から憧れていた相模恭汰という絶対的な建築界のカリスマのいる会社に入社できた事だけが、唯一の私が今まで努力してきた事へのご褒美だと思って頑張ってきた。

多分、姉の影響を露骨に受けずに済む世界にいて存在意義を見つけたくて。

この三年近く仕事に励んできた…。

宣伝部という、会社の中では縁の下の支え的な地味な部署でこつこつと。

デザインを勉強していた私には、カタログ作りや対外的な販促ツールの作製も楽しかった。

ようやく、自分が大きく息をできる場所を見つけられたと…のんびり素で生活できる場所を見つけたと嬉しかった。

それと同時に。

どれほど姉に対して劣等感を持っていたのかを実感して、自分の中の何かが壊れていくのも感じた。

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