プラチナの誘惑
多分彩香の見合いの話なんて知らずにいたんだろうと思うと、怖くなる。

彩香の人生に関わる出来事を知らなくて当たり前…そんな自分の存在場所を改めて突き付けられた事は。

正直かなりこたえた。

そんな俺の落ちてる気持ちを隠すように、ふっきるように。

何度か交わしたキス。

ほとんど俺だけの気持ちを押し付けるようなキス。
彩香がどう受け止めてるのかはわからないけれど。
微かに応える仕草を信じてしまいそうになる。
背中に回された手の温かさと震えを閉じ込めてしまいたくなる。

俺の見た目だけに近づいてきては通りすぎる…
今までの女とは違うと。

ニューヨークで感じた気持ちをそのまま信じてしまいそうになる…。
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