涼×蘭
「さ、着きましたよ」

「……」

涼が俺の服を掴む。

「どうかなさいました?」

「……」

涼は俺を見上げる。
よほど行きたくないんだろう。

「俺はここで待たせていただきます」

俺にはこれしか言えないから。

小声で、誰にも聞かれないように。

「必ず……戻ってきなさい……」



そして蘭に会いなさい……誰よりも、涼を必要としている。

あの子は純粋に……。
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