僕の明日みんなの明日
生きている時間
暑い夏の朝、テレビで一つのニュースが流れていた。

『昨夜午後9時頃に、東京都N町の加藤さん宅にて殺人事件がありました。殺されたのは―』

『―なお、犯人は強盗目的で殺害したもようで、未だ捕まっておりません。続いては―』

ニュースキャスターのお姉さんは淡々とニュースを読み上げ、次々にニュースを伝えていった。

『お父さん聞いた?殺人事件だって!!しかもN町って家からそんなに離れてないよ。』

今のニュースを繰り返してお父さんに聞かせた。

『あぁ、見ていたよ。父さん今日は帰りが遅くなるから家の戸締まりはしっかりしとくんだぞ?』

『オッケー。』

今日もお父さんとなにげない会話から1日が始まる。

僕の名前は大石 浩太(オオイシ コウタ)。今年、小学五年生になった。

僕はお父さんと2人で暮らしている。お父さんとお母さんが去年離婚してしまったからだ。だから僕はお父さんと、三つ年上のお姉ちゃんはお母さんと暮らすようになった。

お父さんとお母さんが何で離婚したのかは知らない。お父さんは「お父さんが悪かったんだ」って言っていたけど意味がよく分かんないや。お父さん達が離婚して一年たってやっと今の暮らしにも慣れてきた。

『あ、お父さんもうこんな時間だ!!早く出ないと遅刻するよ。』

『本当だ!じゃあ浩太、後片付け頼んだぞ。』

『うん、いってらっしゃい。』

お父さんは慌て椅子の上にある手持ち鞄を抱きかかえ、急いで家を出て行った。いつも通りお父さんは僕より先に家を出る。僕も朝食の片付けをしてからランドセルを背負って学校に向かった。
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