僕の明日みんなの明日
俺はいつも通り家に帰らずに店に行った。裏口から入ると、父さんがお帰りと言って晩飯の用意をしてくれる。飯を食った後7時前まで手伝いをし、家に帰るフリをして学校に向かった。

父さん達は9時に店を閉めるからそれまでに帰ればいいだろ。学校に着くと、八田達はすでに来ていた。

『柴原、遅い!』

『悪い、けど10分しか遅れてないだろ。』

八田には文句言われたけど、佐藤が八田をなだめて神社に向かった。八田や佐藤達は楽しそうだったが、西高は少し怯えていた。

『ねぇ、やっぱり辞めない?あの神社本当に出るって噂だし。』

『出るから肝試しになるんだろ。大丈夫だって、やばそうになったらすぐ帰るから。』

怖がる西高を鈴木が慰めていた。でも本当に大丈夫か?噂が本当だったら、普通の人にも見える幽霊ってのはこっちに何か伝えたい奴か、悪霊のどちらかだからな。まぁヤバイ気配がしたら連れて帰ればいいか。

神社に着くと、嫌な気配はしなかった。これなら大丈夫だな。

『よし、じゃあ今から入るけど準備はいいか?いくぞ。』

八田が先頭をきって、みんな八田に続いて神社に入った。たしかに夜の神社は不気味だったが、俺は何度も幽霊に会っているから少しを怖くなかった。けど、他の連中は風の音や草が動くだけでビビっている姿が面白い。

『な、何だか期待外れだな。幽霊なんかいないじゃんかよ。』

『そ、そうだね。もうそろそろ帰ろうか?』

『何言ってんだよ、来てからまだ10分くらいしか経ってないぜ?敷地を一周ぐらいわしねーと。』

噂は嘘だったみたいだな、幽霊の姿なんて見えやしない。しかし、神社の裏側まで来ると本当にいた。年は俺と同じくらいの少年の幽霊だ、まぁ気付かないフリをしてれば大丈夫だと思ったんだけど。

『出たーーー!!!』

急に佐藤が叫ぶからその声に驚いてしまった。佐藤が逃げるから八田達も一緒になって逃げて、俺だけがその場に残った。
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