ラブリーホーム*先生の青③




「なぁ、カナ~
謝る以外にさ
イチは何して欲しいの?」



すっかりギブアップなオレは
女心は女に聞こうってことで
朝飯のあと
カナに電話してるけど



『知らないわよ、そんなこと』



返ってくる言葉は
さっぱり使えないモノばかり


「お前、女だろ?
イチの気持ち分かんないの?」



イチが笑顔でいる以上
オレが下手にとやかく聞けない



「つーかさ、カナ
お前がさりげなく
イチに聞いてくれよ」



『はあ?』



「だってイチは
お前の妹みたいなモンだろ?
あとで電話して聞いてよ」



『マジで言ってんなら
最悪だよ、泉
あんたさ、本当に
市花ちゃんに謝ったの?』



「謝ったって
決まってんだろ
いつまでもイチが不機嫌じゃ
たまんねーんだよ」



自業自得と言えば
そうなんだけど
今も、『あの時』も



イチが
何かを押し殺すように怒る時



思い出される
『あの時』のこと



これもトラウマと
呼べるんだろうか



イチがまだ高2の頃



フミの見舞いに着いて来た後
やっぱりギリギリまで
オレに何も言わず



つらい気持ちを
打ち明けてくれた時には
もう手遅れ



フォローする猶予も
くれないまま
イチはオレから離れて行った



そこが一番
あの子の怖いところだ




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