ツンデレ彼氏サマ
――『"いつか紗耶香を取られそうで嫌だ"って言ってたよ?』
宙くん。
私が好きなのは宙くんだよ。宙くんしかいないよ。
宙くん以外を見るなんて、ありえないんだから。
ちゃんと正面から向き合うから、だから宙くんも私を見て。
目を反らさないで。
思ったことを、言葉にして。
「ほら、そろそろ紗耶香ちゃんの王子様が登場じゃない?」
「…?」
直太先輩がニコニコして私の後ろを指差した。
指差した先をなぞるように振り向くと
「…っ…紗耶香」
宙くんが昇降口から走って向かってきた。
初めてみた。
いつも無表情ばっかりな宙くんが焦ってる。
「…っはぁ……直太、お前」
「言ったさ。宙がうじうじしてばっかだから。紗耶香ちゃん可哀相じゃん」
「………」
「好きならそれなりに言葉にしてあげないと伝わらないぞ」
ニヤッと微笑んだ直太先輩に宙くんは困ったように笑った。
これも、初めてみた。