破れぬ誓い



「まぁ、そいつかどうかもしれねぇんだがな。」


頭をガリガリ掻いて土方さんは続ける。


「こないだの池田屋の斬り込みがあったろ。
後片づけで骸をさわってたら顔に傷のある野郎を見つけた。」

「はい…。」

「がたいのいい男でな。まぁそれだけで判断出来ることじゃねぇんだがな。」


確かに、顔に傷がある人なんてごまんといる。


「左の頬に斜めに走った傷。鼻は低くて、髪にちぃと白髪が混じってやがった。」


土方さんの一言一言を聞くたびあの時の男の顔が鮮明に思い浮かぶ。


「左に…ある傷は…。」


震える声でアタシは思い出す。

父が傷を付けた場所。

左頬だった。

倒れ込みながら父が付けたのだから斜めに入っていることは説明が付く。


「名前は…伊藤。」


はっとアタシは顔を上げた。





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