おにぎり丼。
ヨッチーの遺書のことも、臭いママのことも、エリコがホテルにいたことも、何もかも忘れて、普通の生活に戻ろう。

それがベストだと思った。
しかし、そうはいかなかった。


嫌がらせは、やまなかった。


やむどころか、日に日にひどくなっていった。


毎日、差出人不明の手紙がポストに届いた。


+++++++++++

悔イ改メヨ

目ニハ目ヲ
歯ニハ歯ヲ
死ニハ死ヲ

オ前ノ罪ハ許サレナイ

+++++++++++


気味の悪い手紙だ。


仕事からの帰り道は、遠回りして、明るい大通りを歩くことにした。


それでも、アパートの前の道は、人通りが少なくて暗い。


家に入って鍵をかけるまで、安心できなかった。


「お姉ちゃん、今日も手紙きてたよ」


「おかえりなさい」

家に戻った時に、姉がいると、ほっとする。


「殺すって書いてあったよ。殺す」

「あら。物騒ね」

「ひとごとみたいに言わないでよー」

「ごめんごめん」




生活は、概ね順調にいっていて、問題は、たった一つだった。


夜道をつけてくる男。


エリコの捜査の中止以外に、何が狙いなのだろう。


私は、とんでもないことに、足を突っ込んでしまったのかもしれない。
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