おにぎり丼。
じゃあ、もしかして鍵をあけて部屋に入って嫌がらせをしたのも、忠君じゃない?」


「あ。それはオレだ」

「そうなんですか」

「なんか、ドアんとこに、鍵が刺さったままになってたから拝借したんだ」

なんておっちょこちょいな姉だ。


誤解はすっかりとけたが、忠は侮れない男だ。

人の家に勝手に入るなんて、非常識なことを平気でするし、毎日の嫌がらせも相当ひどかった。


いくら思春期でも、やりすぎなのではないだろうか。

ヨッチーも、きもかったが、忠にもそれは受け継がれているのだろう。

幸い、由美子さんの遺伝子を受け継いでいるだけあって、容姿はそこそこだが、中身はひどいものだ。


「また遊びにきてね」

と、社交辞令で言って、私はさりげなく忠を家から追い出した。

< 143 / 202 >

この作品をシェア

pagetop