くちづけのその後で
「海斗、ご飯にしよ♪」


家に着いてからも海斗は元気が無くて、話し掛けてもずっと大人しかった。


「おいで……」


あたしは、自分の膝の上に海斗を乗せた。


「ごめん……。ママが遅くなったから、海斗は寂しかったんやんな……」


小さく呟くように言うと、海斗はシクシクと泣き出した。


「ごめん……」


無力なあたしには、海斗の背中や頭を撫でながら宥める事しか出来なくて…


そんな自分を情けなく思って、込み上げそうになる涙を必死に堪えていた。


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