くちづけのその後で
しばらくしてやっと落ち着いた海斗が、涙目のままあたしを見上げた。


「ママ……。ごめんなしゃい……」


海斗はそう言って、またあたしにしがみついた。


「海斗は悪くないねんから、謝らなくてイイねんよ……」


優しく囁いて、海斗の頭を撫でながら話を続けた。


「ママが遅くなったから、海斗は寂しくなったんやもん……。これからは、もうちょっとだけ早く迎えに行くようにするから……」


あたしがそう言うと、海斗は瞳を潤ませたまま嬉しそうに笑った。


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